NPO法人を立ち上げ、運営を続けていく中で、多くの理事長が直面する深い悩みがあります。
それは、「組織のすべての判断が、自分(理事長)に集中してしまう」という問題です。
理事長への判断集中
日常の細かな業務から、トラブルの対応、未来の事業計画まで、気づけばスタッフも役員も「理事長、これどうしますか?」と指示を仰ぐばかり。これでは理事長のキャパシティが組織の限界になってしまい、持続可能な運営は望めません。
では、なぜ判断が理事長一人に集中してしまうのでしょうか?
その原因は、設立当初、あるいは新役員が就任した瞬間の「ある手続き」に隠されています。
判子を押すだけの「就任承諾書」では、役員の自覚は育たない
NPO法人を設立する際、あるいは役員が新しく就任する際、当然ながら「役員(理事・監事)」の就任手続きを行います。このとき、本人が署名捺印する「就任承諾書」を提出しますが、実はここに大きな落とし穴があります。
実務のリアル
多くの団体において、就任承諾書は用意されたひな型に「名前を書いて判子を押すだけ」の手続きになりがちです。
声をかけられた側も、「名前を貸すくらいならいいよ」「頼まれたからサインするね」という軽い気持ちで引き受けてしまうことが少なくありません。この「最初のボタンの掛け違い」こそが、後にすべての責任と判断が理事長一人に重くのしかかる「指示待ち役員」を生む原因になってしまうのです。
住民票の秘密
あえて「職権」を使わない。運営がうまくいくNPOがやっている住民票の秘密
役員が就任する際、もう一つ提出しなければならない書類が「住民票」です。
私自身、行政書士として多くの法人の設立や役員変更をサポートしてきました。プロの行政書士であれば、「職権請求用紙」というものを使って、役員の方の手間をかけずに住民票を代わりに取得することができます。
一見すると、新役員の手間を省く親切な対応に思えるかもしれません。しかし、私はあえて「住民票は、ご自身で取得してきてください」とお願いをしています。
職権を使えば一瞬で済むものを、なぜあえて本人に動いてもらうのか。
理由は明確です。「役員に就任する」という当事者意識と自覚を、身をもって持ってもらうためです。
今の時代、マイナンバーカードを使えばコンビニのマルチコピー機でいつでも簡単に住民票が手に入ります。手続き自体はとても便利になりました。
だからこそ、わざわざ自分の意思でコンビニへ足を運び、画面を操作し、手数料を払って「NPO法人の役員になるための住民票」を出力する。この「自分の手を動かす」という主体的なアクションこそが、ひな型にサインするだけでは得られない「自分はこの組織の経営を担う一員になるんだ」という確かな自覚の第一歩になります。
不思議なことに、現在運営が驚くほどスムーズにいっているNPO法人は、この私の説明に深く納得し、設立時だけでなく、その後新しく役員を迎える際にも必ず「本人に住民票を取ってきてもらう」というルールを徹底されています。私自身、行政書士として多くの法人の設立や役員変更をサポートしてきました。プロの行政書士であれば、「職権請求用紙」というものを使って、役員の方の手間をかけずに住民票を代わりに取得することができます。
最初の手間を惜しまなかった団体ほど、役員が経営の当事者となり、理事長と痛みを分け合って一緒に判断を下せる強い組織に育っていくのです。
理事長への判断集中を防ぐための3つのステップ
もし、すでにあなたの団体で「理事長への判断集中」が起きているなら、今からでも遅くありません。以下のステップで役員の「自覚」をチームとして再構築していきましょう。
「経営参画」のコストを最初から隠さない
次回の役員改選や新役員就任の際は、事務局がすべてを代行するのではなく、必ず「本人による住民票の取得」からスタートしてもらいましょう。
「ここまでは自分で決めていい」権限の明文化
理事長がすべてを決めるのではなく、「〇万円以内の事業費なら理事の裁量で決定してOK」など、判断の境界線をルール化します。
「相談」ではなく「提案」を求める
メンバーから「どうしましょう?」と聞かれたら、「あなたならどうしたい?」と、一人の経営陣としての意見を必ずセットで求める癖をつけます。
豊中市でNPOの組織基盤を強くしたい方へ
NPO法人は、理事長一人の頑張りだけで維持できるものではありません。役員一人ひとりが「住民票を自ら取る」という小さな一歩から当事者意識を持ち、組織の責任を分かち合うことこそが、10年、20年と続く健全な運営の土台となります。
なお、豊中市でNPO法人の設立や役員変更の手続きを行う場合は、豊中市コミュニティ政策課で必要書類をご確認ください。
また、豊中市立市民公益活動支援センターで相談をすることもできます。
当法人(PriReg)も豊中市を拠点に、こうした「手続きの裏側にある、失敗しないための組織づくりのノウハウ」を共有し、地元の市民活動を応援しています。
【当法人(PriReg)の相談受付に関する大切なご案内】
当法人は、豊中で活動する市民活動団体がNPOの設立や運営に関して「助言(アドバイス)」を求めてこられた場合に限り、無償にて相談に応じます。
ただし、誤解なきようお伝えいたしますが、当法人は特定非営利活動法人(NPO法人)であり、いくら代表である私が行政書士であっても、**NPO法人PriRegが「設立申請の代行」や「書類作成の請負」といった法的業務を受託することは、行政書士法違反となるため一切行いません。**また、行政書士個人の立場として、これらの実務を無償で引き受けることもございません。
あくまで「運営の知恵やノウハウをアドバイスする無償相談」の範囲での対応となります。
「役員が集まらない」「理事長一人が抱え込んでいて苦しい」とお悩みの立ち上げメンバーや現役の理事長の方は、手続きの技術論を離れた「組織の根っこ」を強くするための助言の場として、当法人の無償相談をぜひお気軽にご活用ください。